育毛剤と発毛剤の名前や存在は知っている方も、次のような悩みをお持ちではないでしょうか。
- 育毛剤と発毛剤にはどのような違いがあるのか
- 現状、自身の頭皮状態にはどちらを使用すればよいのか
- 本当のところ、どちらがおすすめなのか
育毛剤と発毛剤はどちらも同じくらい耳にする名前です。
しかし、上記のようにそれぞれの違いを明確に理解し、自身にはどちらが適切なのか判断できない方は大勢いるでしょう。
事実、育毛剤と発毛剤は同じようで目的や効果は異なります。正しい選択をしないと期待する効果が得られない可能性もあります。
わざわざ購入して使用していたのに、間違った選択をすると時間やお金がムダになってしまいます。ではいったいどのような点が異なるのでしょうか。
当記事では、次の内容について解説します。
- 育毛剤と発毛剤の目的や効果の違い
- それぞれの商品に向いている方の特徴
- 育毛剤や発毛剤の効果的な使用方法
育毛剤と発毛剤の違いについて

育毛剤と発毛剤は似ているようで効果や目的は異なります。もっとも大きな違いは種類で、育毛剤は医薬部外品、発毛剤は医薬品(第一類医薬品)に分類されます。
【医薬品(第一類医薬品)と医薬部外品の違い】
第一類医薬品:治療を目的とした医薬品のなかで、一般用医薬品として扱われる1~3類のなかでもっとも副作用が起こる可能性が高いです。薬剤師が対面で書面によって説明する必要があります。
医薬部外品:防止や衛生を目的として、一定の濃度で配合されている有効成分の効果や効能が認められています。人体に対する作用が比較的おだやかな特徴があります。
医薬品である発毛剤には、国内で唯一発毛効果が認可された有効成分であるミノキシジルが含まれており、育毛剤には含まれていません。
そのため、発毛剤は新しい髪を生やす目的があり、育毛剤は今生えている髪の毛を抜けにくい髪に育てる目的があります。
髪が生える仕組みや薄毛と抜け毛の原因
髪の成長にはヘアサイクルといわれるメカニズムがあり、薄毛や抜け毛になる原因もヘアサイクルが関係しています。
ヒトの髪は、成長期→退行期→休止期のサイクルがあり、休止期を迎えた髪は3~4か月かけて自然に脱毛します。そして再び成長期を迎え髪が太く長く成長していき、これを繰り返しています。
上記のような、髪が成長していくサイクルのことをヘアサイクルと呼びます。正常なヘアサイクルは男性で3~5年、女性は4~6年といわれています。
ヘアサイクルが乱れると薄毛や抜け毛につながりやすくなってしまいます。異常脱毛が起きているときはヘアサイクルが極端に短くなっており、半年から1年程度しかないことも珍しくありません。
つまり、抜け毛や薄毛はヘアサイクルが短い状態がつづくことで起こります。
ヘアサイクルが短くなると、抜け毛本数が増えて薄毛になります。しかし、抜け毛の本数が増えなくても薄毛になる場合もあります。
なぜなら、ヘアサイクルが乱れることで髪の毛そのものが細くなり、密度が減り地肌が露出しやすくなるからです。効率よく薄毛対策するためには、それぞれの症状に合った対策をしていかなければなりません。
次は、発毛剤と育毛剤が効果を発揮する薄毛の症状について解説します。
頭皮環境を整えて薄毛と抜け毛を防ぐ育毛剤
前述したとおり、育毛剤は今ある髪を抜けにくい丈夫な髪にする目的があります。髪が細くなってしまった場合や、髪にハリやコシがなくなってきた場合などに、育毛剤は効果的です。
育毛剤には髪を抜けにくくする成分や、髪を太く育てる成分などが含まれていることが多く、頭皮を清潔に保ちながら髪が育ちやすい環境を整えます。
そのため、頭皮はまだ露出していないものの、抜け毛が気になっている方におすすめです。発毛剤と違い育毛剤は医薬品でないため、市販されていて入手しやすく、価格もリーズナブルです。
髪の発毛を促し薄毛と抜け毛を改善する発毛剤
発毛剤は名前のとおり、髪の発毛を促進させ薄毛を改善する働きがあります。また、同時に抜け毛を抑える効果も期待できます。
繰り返しになりますが、発毛剤には厚生労働省が認可した唯一の発毛成分であるミノキシジルが含まれています。医薬部外品の育毛剤と異なり医薬品に分類されるため、治療目的で開発されている外用薬です。
発毛剤に含まれるミノキシジル成分によって毛包を活性化させ、新しい髪を生やすためにアプローチする働きをします。
育毛剤の効果

育毛剤に期待できる効果は次のとおりです。
- 頭皮環境を整える
- 髪の毛にハリやコシが出る
- 薄毛と抜け毛を予防する
上記でもわかるとおり、頭皮や髪の状態を改善したり予防したりする効果が期待できます。
一つずつ詳しく解説します。
頭皮環境を整える
育毛剤には頭皮環境を整える成分が配合されています。
商品によって配合成分は異なりますが、頭皮環境を整える成分の例は次のとおりです。
- クジンエキス
- ニンジン抽出液
- グリチルリチン酸ジカリウム
- センブリエキス
- ジフェンヒドラミン塩酸塩
- イチョウ葉エキス
- エビネエキス
- Ⅼ-アルギニン
上記の成分が作用することにより、血行促進作用、雑菌の増殖抑制、抗炎症作用が期待でき、頭皮環境の改善につながります。
育毛の基本は頭皮からといわれるくらい、頭皮の状態は重要です。上記の成分が配合されたものを選び、頭皮環境を改善しましょう。
髪の毛にハリやコシが出る
育毛剤にはハリやコシのある髪へ改善する成分が含まれています。たとえば、ヒアルロン酸やアロエエキスなどの保湿成分があげられます。
そもそも、髪にハリやコシがなくなるのは、髪の水分量が減りキューティクルが剥がれることで起こります。保湿成分が含まれた育毛剤で乾燥を防げれば、ハリやコシのある髪へ改善できるでしょう。
薄毛と抜け毛を予防する
抜け毛の原因には悪玉男性ホルモン(DHT)が関わっているケースもあります。DHTは、別の男性ホルモンであるテストステロンと、毛穴に多く存在する酵素の5αリダクターゼが結合すると生成されます。
育毛剤には5αリダクターゼを抑制する成分が配合されているものもあります。
代表的なものに次の成分があります。
- エチニルエストラジオール
- ノコギリヤシ
- ヒオウギエキス
- t-フラバノン
- 冬虫夏草エキス
- パントテニルエチルエーテル
薄毛は異常な抜け毛から起こることが大半を占めています。育毛剤を選ぶ際は、上記の成分を確認してみるとよいでしょう。
発毛剤の効果

発毛剤にはミノキシジル成分が含まれているため、おもな目的は発毛を促すことですが、期待できる効果は発毛のみではありません。
次の2つにも効果的と考えられています。
- 薄毛と抜け毛を改善する
- 太く丈夫な髪の毛を生やす
次で詳しく解説します。
薄毛と抜け毛を改善する
ミノキシジルは発毛効果がありますが、そのほかにも、抜け毛の改善効果も期待できます。なぜなら、髪の成長の司令塔である毛乳頭細胞へミノキシジル成分が直接働きかけるからです。
それにより、毛母細胞の分裂が活発になってヘアサイクルの正常化につながり、延長された成長期によって抜け毛が減少します。
太くて頑丈な髪の毛を生やす
ミノキシジルに発毛促進効果があるのは、頭皮の血管を拡張させる作用があるからです。血管拡張により頭皮の血流が改善され、毛根へ栄養が運ばれやすくなります。
髪の成長に必要な栄養がより多く運ばれるようになれば、太くて丈夫な髪の毛へ育ちやすくなります。
【発毛剤を使用する際のポイント】
髪の成長には、次の3つの栄養素がとくに必要といわれています。
・たんぱく質
・亜鉛
・ビタミン
上記は髪の三大栄養素と呼ばれていて、髪をつくるためには必要不可欠です。三大栄養素をあわせて摂取すると効果的でしょう。
育毛剤の使用がおすすめな方

次の項目に当てはまる方は育毛剤を使用してみるとよいでしょう。
- 毛髪のボリュームが気になる方
- 将来の薄毛を予防したい方
- 手軽な価格で薄毛予防ケアをしたい方
上記のことから、育毛剤が向いている方は薄毛の初期症状や、将来の薄毛が心配で今のうちから予防したい方などが当てはまります。
では、当てはまる方を掘り下げて解説します。
毛髪のボリュームが気になる方
薄毛の初期症状のひとつには、毛髪のボリュームダウンが考えられます。「最近髪のボリュームがなくなった気がする」と悩まれている方は、髪にハリやコシがなくなり細くなってきているのかもしれません。
そのままにしておくと薄毛につながる可能性があるため、育毛剤で防止するとよいでしょう。乾燥でキューティクルが剥がれ、ハリやコシがなくならないようヒアルロン酸やアロエエキスなどが配合された育毛剤が効果的です。
将来の薄毛を予防したい方
薄毛は進行すると改善するための治療が非常に大変なため、将来が心配な方は今のうちからの予防が大切です。
抜け毛予防に効果的なノコギリヤシエキスやエチニルエストラジオール、ヒオウギエキスなどが配合された育毛剤を選ぶとよいでしょう。
手軽な価格で薄毛予防ケアをしたい方
薄毛予防をできるだけ低価格でおこないたい方は育毛剤を使用するとよいでしょう。なぜなら、薄毛治療の発毛剤より抜け毛予防の育毛剤の方が手軽に使用できるからです。
発毛剤は医薬品に分類されるため、価格は高めといえます。できるだけ自身に合った成分が配合されている、手ごろな価格の育毛剤で薄毛を予防するとよいでしょう。
発毛剤の使用がおすすめな方

発毛剤は医薬品であり治療を目的としているため、薄毛治療を希望している方に向いています。
具体的には次に該当する方です。
- 薄毛や抜け毛が気になる方
- 男性型脱毛症(AGA)の方
- 薄毛予防効果を実感したい方
上記からわかるとおり、すでにある程度の抜け毛や薄毛の自覚症状があり、発毛して薄毛を改善させたい方におすすめです。
詳しく解説します。
薄毛や抜け毛が気になる方
薄毛や抜け毛が気になっている方は、薄毛を治療するために発毛剤を使用するとよいでしょう。
薄毛の進行具合は人それぞれのため、改善効果も個人差があります。そのため、薄毛も初期段階の方が改善しやすいといえます。
まだそれほど頭皮が露出していない方には、ぜひ早めに使用してほしいですが、進行している方もこれ以上の防止のために早めに使用する方がよいでしょう。
発毛剤には抜け毛予防効果もあるため、薄毛や抜け毛が気になっている方におすすめです。
男性型脱毛症(AGA)の方
ミノキシジルはAGA治療薬として高い改善効果が期待されています。
日本皮膚科学会の男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版では、AGA男性やFAGA女性へのミノキシジル発毛剤の使用を強く勧めています。
参照元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
AGAクリニックでの治療にも、ミノキシジル発毛剤は積極的に用いられているため、効果は期待できるでしょう。
薄毛予防効果を実感したい方
薄毛の治療効果を実感したい方は発毛剤がおすすめです。育毛剤に比べると価格は高い傾向にありますが、育毛剤には発毛成分が配合されていません。
コストがかかる分、発毛剤は薄毛改善効果が実感しやすくなります。
育毛剤と発毛剤の効果的な使い方

育毛剤と発毛剤の効果は異なりますが、基本的に使用方法には差がありません。しかし、より効果的な使い方をすれば、発毛や育毛を促進できます。
効果的に育毛剤や発毛剤などの外用薬を使用するためには次の点に注意するとよいでしょう。
- 清潔な頭皮に塗布する
- 頭皮をマッサージして浸透させる
- 継続して使用する
詳しい方法は次で解説します。
清潔な頭皮に塗布する
育毛剤や発毛剤は清潔な頭皮に塗布すると効果的です。なぜなら、塗布した成分は毛穴から吸収されるためです。皮脂や汚れが毛穴に詰まっていると、成分の吸収率が悪くなり十分な効果が得られません。
夜に塗布する際は、洗髪してドライヤーで乾燥させたあとで頭皮に塗布するとよいでしょう。
頭皮マッサージをして浸透させる
頭皮をよくマッサージすることで外用薬の成分が浸透しやすくなります。頭皮マッサージによって血流がよくなるため、より多く浸透するためです。
塗布するのみで効果は得られますが、より高い効果を期待するならマッサージをするとよいでしょう。マッサージの際は指の腹をつかってやさしく揉みこむようにおこなうことが大切です。
爪をたてると頭皮が傷つき逆効果になる可能性があるため、注意が必要です。
継続して使用する
育毛剤と発毛剤それぞれにいえることですが、継続して使用することが重要です。
とくに進行性の特徴があるAGAは、途中で使用を中止すると再び薄毛が進行してきます。そのため、いかに継続できる商品を選ぶかが重要になります。
継続するためには次のことを意識するとよいでしょう。
- 継続していける価格帯のものを選ぶ
- 使用方法や形状などが使いやすいものを選ぶ
- 自身の肌質に合った成分が含まれたものを選ぶ
上記のように、自身にとって継続しやすい発毛剤や育毛剤を選んで使用しましょう。
育毛剤と発毛剤に関する良くある質問

ここからは、育毛剤と発毛剤に関するよくある質問に回答します。これまで気になっていたことや疑問点が解決できるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。
育毛剤と発毛剤はどれくらいで効果が出る?
育毛剤や発毛剤は使用してから4か月ほどで効果が現れはじめます。そのため、1~2か月程度で効果は実感できません。
外用薬は成長期の状態にある髪に使用することで効果が出るため、休止期から成長期になるまでの約4か月は効果がでなくても使用を続ける必要があります。
ただし、効果が現れる期間には個人差があるため、あくまでも目安として考えておくとよいでしょう。
育毛剤と発毛剤に副作用はある?
育毛剤や発毛剤には副作用が報告されています。育毛剤の副作用は頭皮のかゆみや湿疹など、比較的軽度な頭皮トラブルが起こりやすいといえます。
しかし、頻度は多くないため、過度に心配する必要はありません。
一方で発毛剤は、育毛剤と同様に軽度な頭皮トラブルをはじめ、頭痛やめまいなどの精神神経系の症状や胸の痛み、心拍が速くなるなどの循環器系の症状がでることもあります。
これはミノキシジル成分による副作用の特徴で、ほかにも初期脱毛などが起こる場合があります。いずれにしても、なにかしら異常を感じた場合は医療機関を受診するとよいでしょう。

育毛剤と発毛剤は併用しても大丈夫?
結論から伝えると、併用しないことをおすすめします。なぜなら、育毛剤や発毛剤はほかの商品と併用しなくてもよいように成分や分量が調整されています。
併用すると適量オーバーになったり副作用のリスクが上がってしまったりする可能性があります。自身の症状に最適な成分が含まれた商品を1つ選ぶようにするとよいでしょう。
まとめ

育毛剤と発毛剤は似ているようで、効果や目的は異なります。医薬部外品と医薬品の決定的な違いもあります。自身が希望する目的にあわせて選ばないと、期待する効果が得られない可能性もあるでしょう。
今ある髪を育てたいなら育毛剤を、発毛して薄毛を改善したいなら発毛剤を選ぶようにするとよいでしょう。
また、ただ塗布するだけでなく効果を上げるために正しく使用することが大切です。当記事で紹介した使用方法をぜひ参考にしてみてください。
薄毛や抜け毛の悩みを改善できるよう、自身に合う育毛剤や発毛剤をみつけましょう。
※本記事の情報は2023年5月時点のものです。
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